労働と身体③

暮らしのヒントがたくさん詰まっている江戸時代。
そんな江戸末期から明治初期にかけてに日本を訪れた、
欧米人の手記や書簡から世界に類を見ない日本精神文明を掲載している本、
 
 渡辺京二の『逝きし世の面影』 から、
面白くて何度も読み返してしまうところを載せます。
第6章で思いついて載せ始めたので、1~5章については全部読み終わってから載せます。
わたしが読み返すために載せているだけですので、気になる方は本を購入してね☆

happyjam1343jamhappy-img423x600-1428566817ipn4i327224_convert_20150820131807.jpg

引き続き、第六章 労働と身体 から引用。

 モースは、一見簡素な日本家屋の部分部分に「指物師の工夫と芸術心が働いていること」に驚嘆した。彼の意見では、日本の大工は仕事が優秀であるばかりでなく、「創意工夫にたけた能力を持っている」という点でも優秀なのだった。彼によると日本の大工はアメリカの大工より技術的に上だった。アメリカの大工が高価な機械をそろえているのに対して、日本の大工道具一式がかなり原始的なのを考慮すると、問題は頭と眼識なのだと彼は考えずにはいられなかった。今日のアメリカでは真面目に大工になるものなどいないのに、日本の大工は世襲で、子供はかんな屑のかおりの中で育つのだ。p204

 「大工が一本の材木の上に立って、剃刀のような切れ味の刃に、ひん曲がった柄のついた手斧を威勢よく振い、裸足の足指から一インチと離れていない木材の表面を削りっとってゆく姿を見れば、気の弱い人ならはらはらするだろう」。だが手斧のせいで傷を負った者を一人も見かけたことがないのは、日本大工の腕の冴え具合の何よりの証拠だ~ p204

 「~~日本人の職人の腕の良さと敏捷さは注目に値いし、あまり良くない道具を使っていたにもかかわらず、西欧の職人など足元にも及ばないような正確さと趣味の良さをもって、あっという間に仕上げてしまった」。p205

 つまり彼らはあらゆることに悠長であったわけではなく、必要とあればどれだけでも敏捷になれる人たちだったのだ。p205

s01-04.jpg


ゆったりしているのは、のんびりやさん・怠け者なのではなかった。
やるときはやる!ってだけだった。

 「裸足の足指から一インチと離れていない木材の表面を削りっとってゆく」

 「手斧のせいで傷を負った者を一人も見かけたことがない」

 「西欧の職人など足元にも及ばないような正確さと趣味の良さをもって、あっという間に仕上げてしまった」


職人さんの仕事って見とれるよね~。
工事現場とか見てていいなら、ずっと見ていたい。
コンクリを平らに均すのも、足場の組み立ても、なんて楽しそうなんだろう~。
次、男に生まれたら、工事現場関係で働きたい♪ 鳶さんとかカッコいいよね~。
普段はゆったり、やるときは凄すぎるなんて、ギャップ萌100点レベルですね。

江戸散歩・江戸散策「江戸の職人」←このサイト良いですよ。画像も豊富でわかりやすい。

daiku.gif kikori.gif

 日本の肉体労働者のたくましいからだはしばしば観察者の歎賞の的となった。エミール・ギメは人力と車力という典型的な肉体労働者の体格を次のように描写する。人力車夫は「ほっそりと丈が高く、すらりとしていて、少ししまった上半身は、筋骨たくましく格好のよい脚に支えられている」。荷車を曳く車力は「非常にたくましく、肉付きがよく、強壮で、形は比較的広く、いつもむき出しの脚は、運動する度に筋肉の波を浮き出させている」。

 ヒューブナーも日本人船頭の「たくましい男性美」を賞揚し、「黄金時代のギリシャ彫刻を理解しようとするのなら、夏に日本を旅行する必要がある」という。

 米人画家ラファージもまた、日光への旅に傭った人力車夫の肉体から古代ギリシャを連想したのである。「雨傘の下から、私は車夫たちの筋肉の動きを研究したり、時には素描を試みたりした。彼らはほとんどみな、腰のまわりにややこしい帯を除いて裸だった。芸術家にとって懐かしい古代の朧気な回想―脚と股とのきりっと締った筋肉、背中の波打つ隆起―は職業上の研究熱をよみがえらせたし、またそれは画家への天恵と思われた」。

 彼らの多くがそうであったが、ギメも最初は人間に曳かれる車に乗ることに罪悪感を抱いた。だが何しろ乗心地がよく、車夫も快活なので「後悔の念は去り、楽しみが残る」。車夫たちは貧乏人ではない。人力車を曳くのは社会的地位である。着いた宿屋で彼らはほとんど贅沢をしている。そして彼らの曳く車は「輝くばかりに漆が塗られ、金の華とか伝説の場面が彩色されて描かれ、銀の釘や銅の骨組で飾られているのだ」。

sakanobori.jpg

まさかのギリシャ人。日本人なのに!!

 「たくましい男性美」

 「ほっそりと丈が高く、すらりとしていて、少ししまった上半身は、筋骨たくましく格好のよい脚に支えられている」

 「脚と股とのきりっと締った筋肉、背中の波打つ隆起」


人力車は見慣れていて、そんなこと思ってもみなかったけど、外国人は人力車に抵抗があったんだね。
それでも、彼らの仕事っぷりを見て、感動して、最高だと思ったんだ。
それから車にそんな装飾がしてあったとは!運んだ先で贅沢をしていたとは!!

 「輝くばかりに漆が塗られ、金の華とか伝説の場面が彩色されて描かれ、銀の釘や銅の骨組で飾られているのだ」

なんとなく質素な生活と思ってたけど、やりきってるなー、楽しそうな生活だなあ。

別当・馬丁_convert_20150820135122

 「人力車夫と並んで外国人の目をひいた肉体労働の職種に別当がある。別当とは馬丁であって、主人が騎行するときに先駆けするのだが、ボーヴォルは「馬の好敵手となるこの筋骨たくましく優雅な肢体の、忠実で疲れを知らぬ走者」について次のように描写する。「まずその衣装が素晴らしい。彼はたいそう幅の広い袖のついた濃青色の外套と、とても恰好のよいふくらはぎの輪郭を見せてぴったりと肌についたパンタロンを身につけている。風に袖をひらめかせながら田圃の中を跳んでいゆく彼の様子は、高く群れ咲く花すれすれに飛び回る青い蝶さながらである」。p207

 「別当とよばれる馬丁は奇妙な種族である。・・・別当は元気で器用な若者で、仕事は実にうまかったが、使うには面倒なところがあり、まさに動物との交わりが育てたような自然人であった。彼らは幅広い胸と鉄のような筋肉を持つ堂々たる体格の持主であった。そして、いつも愉快な好人物で情熱的で潑刺としていた。われわれが騎行するときには、彼らは力のかぎり気紛れに跳躍して走り出し、ときには汗が滴りぐったりする場合もあるが、つねに笑顔で歓声を上げていた。・・・家にいるときは、彼らはたいして役に立たない。馬小屋はわれわれ一行が世話せねばならない。さもないと、別当は飼料代を遊びに浪費してしまうからである。しかもいつも立腹し、口喧嘩をしていた。給料日は各人ごとに別の日にしなければならなかった。というのは、彼らは給料を受け取るとしばしばまる二日、三日は姿を見せず、酒場を徘徊し、有金を全部使い果たすまで戻って来ないからだ」。

 彼らは別当という身分に誇りをもっていて、それが傷つけられると仲間ともども消えてしまい、馬小屋には一人の別当もいないということになるのだった。

 「~彼らはその気になりさえすれば第一級の馬丁で、もっとも荒い馬にも立ち向かってそれを馭す。・・・しかし彼らはいつ何時、ねぐらを変えて予告もせず立ち去ろうという了見を超すか、知れたものではない。彼らは敏捷で頭がいいが、世界最大のこそどろなのだ」p207

a199b5ec.png

まず、江戸時代が好きなのに、別当という仕事知らなかったわ(恥)
読んでも、どんな仕事をするのかいまいち分からないんだけど??!
馬の前を走ってたの?徒歩で馬の前を??

 「飛び回る青い蝶さながらである」

 紺色の着物と日本の風景とでとても映えたでしょうね。それが蝶々だなんて♪

 「元気で器用な若者で、仕事は実にうまかった」

 「いつも愉快な好人物で情熱的で潑刺(ハツラツ)としていた」

 「彼らは力のかぎり気紛れに跳躍して走り出し、ときには汗が滴りぐったりする場合もあるが、つねに笑顔で歓声を上げていた」


仕事を楽しんでいたのは別当たちも変わらず♡
でも、立腹してたり・口喧嘩してたり、飼料費使い込んじゃったりするのはおどろき!
そして給料がもらえたら、使い尽くすまで遊ぶって、今では考えらなくて面白すぎる!

 「彼らは敏捷で頭がいいが、世界最大のこそどろなのだ」(笑))

ぐちゃぐちゃ感、すごいわ。やりきってる。
でも仕事はできる。扱いがむずかしいなあ~。

77cbed23.png

昔の絵とか写真を見ると、無駄なものがついていない、すっきりとした身体つきをしてる。
黒船が来た時に、日本は凄いんだぜ・強いんだぜって見てビビらせ作戦で、
力士に米俵2俵ずつ持たせて立たせたらしいけど、中身が何か分からないから効果ないだろうけども、
米俵持つってすごい。1俵は約60kgらしい。
そして昔の力士は今ほど大きくない。無駄がない感じがする。

afPHDlw.jpg

3俵もってる力士いるけど??180kg・・・。

sumou_tikarakurabe.jpg

小さくて分かりにくいけど、筋肉に注目!!
無駄がなくてうつくし~~。これこそless is moreだわ。

ドイツ出身の建築家ミース・ファン・デル・ローエが提唱 Less is more.(少ないほど、豊かである) 

gj20202_convert_20150820142439.jpg
c0072801_1261324_convert_20150820142449.jpg

そして人力車の装飾が綺麗だったこともだけど、昔の刺青は隠すものではなかったみたいよ。
装飾の一部だったみたい。丸出し。・・・それがとてもキマっていて恰好良い。

hikyaku.jpg

 「彼らはほとんどみな、腰のまわりにややこしい帯を除いて裸だった。」

ややこしい帯(笑)
働いてついた筋肉は美しい!
逆にジムや筋トレでつけた筋肉は気持ち悪い(ボディビルレベル)。
なんでも持ちすぎる(デブ)のは美しくないのかもよ、そうに違いない。




スポンサーサイト