焼畑の学び

民映研の映画をみんなで上映する会』イベントに行ってきました♪
上映作品は「西米良の焼畑」で、民俗学の先生、お二人の講演付きです!

○「九州地方の焼畑(仮題)」
  近畿大学名誉教授 野本寛一 氏 
○「雑穀の農耕文化史(仮題)」
  京都大学名誉教授 阪本寧男 氏

西米良の焼畑_表紙

映画を見ながら、メモしたのを載せます。
1回じゃなくて何回も見たい、持っていたい。
販売すればいいのになーー。

舞台は宮崎県のなんとかっていうところ。
九州地方は焼畑農耕が盛んというか、稲作ができない土地らしい。
(新潟県は平野なので、水田が盛ん。でも焼畑もする。)

米があまり取れないので、このへんでは三穀めしというものが主食です。
三穀めしとは、米・小豆・ヒエで作られます。
囲炉裏で、水多めでコメを火にかけ、沸騰したら茹でておいた小豆を入れます。
もう一度沸騰したら、ひえを投入し、もうひと煮たせし、いらない水を捨てます。
囲炉裏の隅にオキを運び、その上に鍋をおろし蒸らします。
三穀めしの出来上がり~~。

西米良の焼畑_三穀めし

西米良の焼畑_三穀めし・茹で小豆投入

西米良の焼畑_三穀めし・ヒエ投入

西米良の焼畑_三穀めし・水捨て

西米良の焼畑_三穀めし・蒸らし

西米良の焼畑_三穀めし・出来上がり

焼畑にすると決めた場所には、まず御神酒を捧げます。
直径5cm・長さ20cmくらいの竹を2本用意し、それをくくり、御神酒を入れ森に掛け置きます。
祝詞をあげ、これで作業が始められます。

焼畑をするために小さい木は倒し、太い木は倒すと土地が荒れるので立ち枯れにします。
これを“木おろし”と言います。
太い木は全部の枝は落とさないで、てっぺんだけ枝を残します。
そうすることで、そこに神様がとまり、作業を見守ってくれるそうです。

太い木の枝打ちのため、太い木を上がったり下りたりするのは面倒くさいし、体力を消耗してしまうので、
「ツク」と呼ばれる竹と木でできた道具を使って、木から木へと空中を移動しました。
竹は3年目のものが良く、親指と中指で輪を作って、その接点の間に指一本分の幅を加えた太さがいい。
そして、胸の前で持ってみて、しっくりくること。
村一番の大男がぶらさがっても折れず、もちろん傷のない竹をツクにするそう。

竹と木部分はツヅラカズラのツルを使って固定する。
それでも、使用中に竹が折れそうになったら、パンツ?ふんどし?を脱いでモノを見せる。
山の神様は女なので、モノを見せると助けてくれるらしい~(野中先生談)

この地では、秋、一日のうちに一戸の焼畑予定地の木をおろしてしまう習慣があり、
十五人前後で組を作って作業を進めた。
木おろし衆は別火で身を浄め、禊ぎを重ねて山の現場に赴く。
山の巨木の根元に御神酒をあげ、「ただ今、この木を、あがっておろし申す。怪我、災難もないように御守りあってたもれ」と祈る。
そして音頭取りが、木おろし唄を歌い、一同が囃し詞を唱和し共同の木おろし作業の無事を祈った。
作業中に唄うのは、無事を知らせるため・自分が楽しいからであった。

西米良の焼畑_木おろし・登る

西米良の焼畑_木おろし・ツク使用風景

西米良の焼畑_木おろし・上だけ残す

野中先生はツクの上を歩くなんてことはないと言っていたけれど、わたしはしていたと思う。
この映画の中ではおじいさんがやっているけれど、若者もいるだろうし、木こりで身軽な人はとんでもなく身軽だもん。
だから、この絵のようにツクの上を歩いて渡っていたとわたしは思う!



一日で全て刈ることはできないので、切ったり倒したりした木を使って小さな小屋を建て、休憩所を作る。
九州はお茶の栽培が有名であるように、その辺にお茶が生えている。
お茶の葉を焚き火で適当に炙って、お湯に入れて飲んだんだってさ(^^)

焼畑の刈る時期は2回あり、秋に刈り→春に燃やす・夏に刈り→秋に燃やす。
焼畑時期にも収穫はあるし、収穫の時期にも焼畑がある。
少し見にくいけれど、下の表は浜砂一家の生業歴。
浜砂一家はじじばばと父さん母さん、子ども13人です。
広い土地で農耕しているためか、子どもが多いためか、
じじばばと父母は別々に暮らしており、子どもたちは居たい側の家に住んでいたんだって!
じじばばの家には牛も居ました♪

焼畑・定畑、狩猟・採集。
この数の多さ!すごすぎる!!





春になり、いよいよ焼畑です。
火をつけるときには近所の人に来ていただき、若い人に手伝ってもらいます。
他に燃え移らぬよう、青々とした葉がたくさんついた枝を周りに置き、ほうきで掃いて湿った土部分を出す。

燃やさないところ→青々とした枝葉→湿った土→燃やすところ

そして火防せのお札を立て、火をつけます。
風向きなどを考えつつ、表面だけ燃えぬよう、ゆっくり火が回るようにします。
20アールが焼けるまで50分程。
火が消えたら終わりじゃなくて、燃えきれなかった太めの枝を集めて、燃やして全て完全に灰にする。

ここにはヒエを蒔きます。
種蒔きは一家の主がひとりで行います。
2人でやるとかぶったり、蒔き忘れの場所が出てしまうからです。

西米良の焼畑_焼畑・準備

西米良の焼畑_焼畑・火防せの札

西米良の焼畑_焼畑・点火

西米良の焼畑_焼畑・点火3

西米良の焼畑_焼畑・生の葉

焼畑農耕は自然農法です。
農薬もない、肥料もやらない。
でも虫や動物は寄ってきます。

・虫除けのお祓い
祝詞をあげてもらい、最後に捕まえておいたバッタを逃がします。
「邪魔なものは全て殺す」ではなくて逃げ道を作る、日本の“命を大切にする”という文化です。

・猪除け
現在でも猪に困らされているように昔も猪との戦いがありました。
猪は一度、人が来たところには二度と寄り付かない。
寝床を見つけて待ち伏せしても、もう来ることはありません。
なので、猪除けには人間の臭いのよく付いたものを使用しました。
例えば、、
クタシと呼ばれる、人間の小便と猪の内臓を入れ冬から秋まで漬けた、くっさい猪除け。
かがしにも、汗をかいて洗っていないくっさい服を使った。
かがしの語源は、ケモノに人の臭いをかがせるからきている。
かがしを立てる位置は山と畑の境目。
田んぼの真ん中に立てるものではなかった。
また、竹や木で柵を作ったり、石垣島の石垣は実は猪除けで、各地あるものを使って猪対策をしていました。

・兎除け
「キツネが食ったとウサギが言った」と札に書いて立てて置く。
キツネが怒ってウサギをやっつける、食物連鎖を利用した兎除け(笑)

・山犬信仰
ケモノ界の頂点は山犬様。
山犬のお札を立てておけば、他のケモノは怖がってこないらしい。
杉皮などに神札を包み、竹に挟んで焼畑の中に立て、「お犬様、お留守番をしておくんなさい」と唱えました。
盗難除け、火難除け、厄病除け、憑き物除けにもなる。

(↓ 画像はこちらから。現在でも神社が頒布しているオオカミの姿の入ったお札

0004.jpg

ヒエ収穫に向け、籠を作ります。
書道の筆巻きや巻き寿司を作るときに使うようなのをカヤで編みます。
両端の折り返し部分でカヤを折らないよう気をつけます。
編み上がったら、結び目を繋げ、輪にします。
底は縄で蜘蛛の巣状に編み、むしろを入れ完成です。

収穫は穂のみ刈ります。
“穂切り包丁”というものを使い、穂のみ切り取って行きます。
良く実がついた穂は来年の種にするので、分けて束ねておきます。
米のはざがけのような感じにして、風通しのよいところにかけておきます。

昼食はヒエで箸を作り、食べていました(*^^*)

西米良の焼畑_トラづくり・編み

西米良の焼畑_トラづくり・底入れ

西米良の焼畑_ヒエ収穫・穂切り

脱穀です。
めぐり棒というものを使って打ち、目の粗い竹籠でふるい大きなゴミを捨てます。
みに移しふるいをかけ、上にあがってきたゴミを取り除きます。
その後、鍋で煎り、石うすで挽き、みでふるって皮を飛ばします。
とても手数がかかる大変な作業でした。

西米良の焼畑_ヒエ収穫・脱穀

西米良の焼畑_ヒエ収穫・脱穀2

西米良の焼畑_ヒエ収穫・脱穀3

ヒエの収穫が終わったら、大根の収穫です。
この辺では“糸巻大根”が主流です。
横に赤い線の入った、太短い大根です。

西米良糸巻き大根

11_01_ph01.jpg

大根菜は三穀めしのおかずにします。
山に感謝する、山の暮らし。
水田耕作と根本的に違う点は、焼畑はいつか山に返し、自然に回復させる。

この辺は「きうらたすからばい」と呼ばれており、
“ばい”は古語でずっと続くという良い意味があるそうです。

自然に感謝し、敬意をもって接する。
仕事もたのしんでする、超働き者。
なんて素敵なんだろう。
たしかにただ憧れてこれをやろうと思ってもできない。
だって生業暦表すごいもん。
この焼畑農耕の合間に狩りにも採集にも行ってるし、定畑もある。
そんで子沢山だな~、明治から昭和まで子ども作り続けている。尊敬。





そして帰りに伏見稲荷に寄ってきた。
2年連続・外国人人気京都観光第一位の伏見稲荷は、日が暮れてもごちゃごちゃでした。







民俗学の宮本常一先生は、
民俗学ではなくて、これらは生活学だと言う。
昔の生活から学ぶことってとっても多いと思う。

今回の映画を見ての感想。
九州は平地が少なく焼畑農耕が主流だけれども、
新潟でも焼畑をするところがあるというのを聞いて、どっちもできちゃうなんて最高の土地だなと思った。
あの美味しいお米が取れるのは、豪雪のおかげ。
あの美しい田んぼ・棚田風景は水が豊富なおかげ。
でもその豪雪のため、竹が生えない。(生えてるけど固い)
京都は夏はすさまじく暑く・冬はだいぶ寒いおかげで良い竹が生える。
京都でも雪が降る地域もある。

食べていくには、水・火・塩(海)が必要で、多過ぎず少なすぎずが好ましい。
関西まで来ると、冬は寒いけど、和歌山はみかんが有名だし、お庭に柑橘類を植えているのは珍しくない。
新潟は柚子くらいは植えているけれど、みかんは見たことがない。

新潟はどれもあるけれど水が少し多い。
京都もどれもあるけれど寒暖差がはげしい。

あ、あと、住んでいる動物が違うのも楽しい。
こっちでは鹿に出会うことが多いけど、新潟でよく出会う動物ってなんだ?

生活学を聞いて歩きたい。
1か月間住みこみ体験とかしたい。
それから、籠がたくさん出てきて嬉しかったな。

次回の京都上映会は、
1月30日(土)民映研ビデオ2本立ての予定だそうです♪
・『皮・つる・木の恵み』57分
・『竹に暮らす』41分

なんて魅力的なタイトル~。
絶対見に行く!!





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